外国語習得の学習環境とモチベーション

2014/09/24 2017/04/08

国内学習と海外学習の違い

外国語を学習する場合、日本で学ぶこともあれば現地海外で学ぶこともあります。どこで外国語を学ぶにしても語学を習得するという大きな目的に違いはありません。それでは、日本で学習する場合は現地海外で学習する場合で、最も異なる点は何でしょうか？

現地海外で外国語を学習する場合は、常にその外国語に触れるチャンスがあると考えがちですが、実際に留学などをしたことがある方であれば経験している方が多いと思いますが、単なる語学留学（研修）の場合は、意外にも現地の語学学校と自宅や寮との往復になりがちです。

特に、学習意欲が強く、真面目な方ほど、このような学習スタイルになりがちです。このような生活であれば、日本で語学学習をしているのとほとんど変わりません。つまり、日本で語学教室に通学して自宅に戻り予習復習を繰り返すこととなんら変わらない学習スタイルになります。

また、海外での語学学校では習得を目指している外国語のみを使った直接法によるクラス運営がほとんどであるため、細かい文法などの説明はあまり理解できない部分も多くなります。

そのような理由から、結局、日本から持ち込んだ文法書や以前日本で使っていたNHKラジオ番組の教材を使って、現地留学先学校の学習と同時学習をするような人もいます。こうなると、もう何のために現地に留学しているのか分からなくなります。

なぜ、このようなことになるのか？ほんの一例ですが、現地の大学に進学する目的で語学留学をしている方や、語学検定試験をしようと考えている方はこのような状況に陥りがちです。

それは、留学目的や検定目的の場合は、試験という目標に向かって学習を進めるため、コミュニケーションに重点を置いた学習を疎かにしがちです。

そして、検定試験受験のための学習に傾倒していくため、海外での学習のメリットを生かせずに、日本での学習と何ら変わらない生活をすることになってしまいます。

一方、日本にいても、海外生活での学習と変わらない状況を作り出すこともできます。その最も簡単な方法とは、日本で目標学習言語のネイティブスピーカーの友人を作ることです。

例えば、日本に来ている中国人や台湾人は、実は日本人の友達を欲しがっています。そして、日本語をもっと話して、日本人ともっと関わりを持って、日本文化に触れたいと思っている人が多いのです。

日本人は一般的に内向的な国民性のため、外国人との関わりを避けがちですが、日本に来ている外国人も、日本人のそのような内向的な国民性を察して、あまり日本人と関わることを避けているのかもしれません。

このような事情を念頭に置いて、日本にいるネイティブスピーカーに勇気を持って一歩を踏み出してみましょう。

あるいは、インターネットの普及により、ネット環境さえ整っていれば、全世界とリアルタイムで繋がることができるようになりました。しかも、ネットに繋がっていれば、音声だけでなく相手の顔を見ながらコミュニケーションができるようになりました。

こうなると、日本にいても海外にいても、対面してコミュニケーションをとるという意味では何ら変わらない学習環境で外国語を学ぶことができます。

特に、中上級学習者は、このような手段を有効に利用すれば、海外に行かなくても日本で十分に生きた外国語に触れ、外国語の習得を目指すことができます。

それでは、次に、海外で外国語を学習する最大のメリットについて考えてみましょう。海外生活をしながら外国語を学習するケースと日本での学習のケースでの最も大きな違いは、外国を使わざるを得ない環境にあるという状況でしょう。

外国語を学習している以上、その言語を使う機会があれば、どんどん使いたいと思うのが学習者の心理だと思います。実際に、外国語を利用せざるを得ない、あるいは利用できる機会が多いというのが海外での語学学習の最大のメリットでしょう。

このような語学学習の環境は、多くの学習者にとってモチベーションの維持に繋がります。例えば、学習したばかりの単語や表現をすぐに使い、その言葉が相手に通じた場合は、モチベーションが非常に上がります。

あるいは、その言葉が相手に通じなかった場合は、そこですぐに間違えた点を軌道修正できます。このようなことの繰り返しにより、学習へのモチベーションを高く保つことができるでしょう。日本にいてはこのような学習環境を作ることは難しいでしょう。